ニュージーランド国立図書館、外国刊行資料50万点以上を廃棄へ – 専門家からは懸念の声
2025年6月17日、カレントアウェアネス・ポータルが、ニュージーランド国立図書館（National Library of New Zealand, NLNZ）が所蔵する外国刊行資料コレクションのうち、50万点以上を廃棄する決定を下したことを報じました。この決定は、図書館界隈に大きな波紋を広げ、専門家からはコレクションの多様性の喪失や将来の研究への影響を懸念する声が上がっています。
廃棄の背景:
ニュージーランド国立図書館は、国の文化的遺産を収集、保存、そしてアクセス可能にすることを目的としています。近年、図書館はデジタル化の推進や利用者のニーズの変化に対応するため、資源の再配分を進めています。今回の外国刊行資料の廃棄は、その一環として行われるものです。
図書館側の説明では、廃棄の主な理由は以下の通りです。
- スペース不足: 物理的なスペースが限られているため、新しい資料の収集や保存のためには、既存の資料を整理する必要がある。
- 利用頻度の低さ: 特定の外国刊行資料は利用頻度が低く、保管コストに見合わない。
- 重複: 他の図書館やデータベースでアクセス可能な資料が多数含まれている。
廃棄される資料の種類:
廃棄される資料の種類は多岐にわたりますが、主に以下のようなものが含まれると考えられます。
- 古い学術雑誌
- 政府刊行物
- 技術報告書
- 地図
- 外国語の小説
- 歴史的文書（一部）
具体的にどの資料が廃棄されるのか、詳細なリストは公開されていませんが、図書館は「コレクションポリシー」に基づいて、各資料の価値、重要性、利用頻度などを慎重に評価した上で、廃棄対象を決定すると述べています。
懸念の声:
この決定に対し、図書館員、研究者、歴史家など、多くの専門家が懸念を表明しています。彼らの主な懸念は以下の通りです。
- 貴重な資料の喪失: 一見利用頻度が低い資料でも、将来的に重要な情報源となる可能性がある。一度廃棄された資料は二度と手に入らない場合が多く、後世の研究に大きな影響を与える。
- コレクションの多様性の低下: 外国刊行資料は、ニュージーランドの歴史や文化を理解する上で重要な情報源である。これらの資料の廃棄は、コレクションの多様性を損ない、研究の視野を狭める可能性がある。
- 代替手段の不十分さ: 図書館側は、廃棄された資料の一部はデジタル化されると説明しているが、すべての資料がデジタル化されるわけではない。また、デジタル化された資料も、原本の持つ価値や完全性を完全に再現できるとは限らない。
- 透明性の欠如: 廃棄のプロセスや基準が十分に公開されておらず、専門家や一般市民が意見を表明する機会が限られている。
今後の展望:
ニュージーランド国立図書館は、廃棄のプロセスを慎重に進めるとともに、関係者とのコミュニケーションを強化することを約束しています。しかし、専門家からは、より透明性の高い議論や代替手段の検討を求める声が依然として根強くあります。
今回のニュージーランド国立図書館の決定は、世界中の図書館にとって重要な教訓となります。限られた資源の中で、貴重なコレクションをどのように維持し、アクセス可能にするかは、図書館が直面する重要な課題です。デジタル化の推進や利用者のニーズの変化に対応しつつも、将来世代のために貴重な文化的遺産を守り続けるためには、慎重な検討と幅広い議論が不可欠です。
結論:
ニュージーランド国立図書館による外国刊行資料の廃棄は、単なる図書館の整理整頓以上の意味を持つ、複雑な問題です。この決定は、図書館の役割、コレクションの価値、そして情報へのアクセスに関する重要な議論を喚起しています。今後、この問題がどのように展開していくのか、引き続き注視していく必要があります。
ニュージーランド国立図書館（NLNZ）、外国刊行資料コレクションの50万点以上の廃棄を決定
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