特化物・有機溶剤作業主任者による局所排気装置の月次点検：わかりやすい解説
環境イノベーション情報機構が発表したQA（質問回答）42294（2025年6月19日04:02）「Re:特化物・有機溶剤作業主任者による局所排気装置の月次点検」に基づき、特定化学物質（特化物）や有機溶剤を取り扱う作業現場における局所排気装置の重要性と、作業主任者による月次点検の内容を詳しく解説します。
1. 局所排気装置とは？なぜ重要？
局所排気装置とは、作業環境中に有害物質が拡散する前に、発生源の近くで有害物質を吸引・除去する装置です。特に、特化物や有機溶剤は人体に有害であり、呼吸を通じて吸入すると健康被害を引き起こす可能性があります。局所排気装置は、作業者の健康を守るために非常に重要な役割を果たします。
具体的な例:
- 塗装ブース: スプレー塗装時に発生する有機溶剤のミストを吸引し、作業者の吸入を防ぎます。
- 研磨作業台: 金属研磨時に発生する粉塵や特定化学物質を含む粉塵を吸引し、作業環境を清潔に保ちます。
- 溶接作業場: 溶接時に発生するヒューム（煙）を吸引し、作業者の呼吸器を守ります。
2. 特化物・有機溶剤作業主任者とは？
特化物・有機溶剤作業主任者は、特定化学物質や有機溶剤を取り扱う作業現場において、作業者の安全と健康を管理する責任者です。労働安全衛生法に基づき選任され、専門的な知識と経験が必要です。
主な役割:
- 作業方法の決定と指示
- 局所排気装置の点検とメンテナンス
- 保護具の使用状況の確認
- 作業環境測定
- 作業者への安全教育
3. 局所排気装置の月次点検：誰が、何を、なぜ？
誰が： 特化物・有機溶剤作業主任者
何を： 局所排気装置全般 (フード、ダクト、ファンの性能、フィルター、排気口など)
なぜ： 局所排気装置が正常に機能しているかを確認し、有害物質の拡散を防ぎ、作業者の健康を守るため。
4. 月次点検の具体的な内容:
労働安全衛生規則に基づいて、局所排気装置の月次点検では以下の項目をチェックします。
- フード:
- 損傷、変形、腐食の有無
- 吸引口の詰まり、汚れの有無
- 設置位置が適切であるか
- ダクト:
- 損傷、変形、腐食の有無
- 接続部の緩み、漏れの有無
- ダクト内の詰まり、汚れの有無
- ファン:
- 異音、振動の有無
- 回転数、風量の低下の有無
- 異常発熱の有無
- フィルター:
- 詰まり、汚れの状況
- 破損の有無
- 交換時期の確認
- 排気口:
- 排気方向が適切であるか
- 排気障害物の有無
点検時の注意点:
- 各装置の取扱説明書をよく読み、点検方法を理解する。
- 点検記録を作成し、異常を発見した場合は、速やかに修理・改善を行う。
- 必要に応じて、風速計や騒音計などの測定器を用いて、装置の性能を評価する。
5. 点検記録の重要性:
月次点検の結果は、記録として保管することが義務付けられています。点検記録は、装置の異常を早期に発見し、事故を未然に防ぐために役立ちます。また、労働基準監督署の調査時に提出を求められることもあります。
点検記録に記載すべき事項:
- 点検日
- 点検者名
- 点検項目
- 点検結果（異常の有無、修理・改善の内容など）
- その他特記事項
6. まとめ
特化物や有機溶剤を取り扱う作業現場では、局所排気装置が作業者の健康を守る上で非常に重要な役割を果たします。特化物・有機溶剤作業主任者は、月次点検を通じて局所排気装置の状態を常に把握し、異常を発見した場合は速やかに修理・改善を行う必要があります。定期的な点検と適切なメンテナンスは、安全で快適な作業環境を維持するために不可欠です。
この情報が、皆様の作業現場における安全衛生管理に役立つことを願っています。
Re:特化物・有機溶剤作業主任者による局所排気装置の月次点検
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